車載用リチウムイオン電池の構成材料と信頼性・安全性確保のポイント　[大阪開催]

講師の言葉

担当講師：

産業技術総合研究所 上席イノベーションコーディネータ 兼 山形大学 特任教授　境　哲男 氏

産業技術総合研究所 電池システム研究グループ 兼 ATTACCATO LLC.　向井　孝志 氏

　リチウムイオン電池が商品化されて25年が経過し、2015年における市場規模は、小型民生分野を中心に約1.5兆円と推計される。携帯機器等に用いられていた電源は、ハイブリッド自動車などの車載用途で本格的に普及し、また、東日本大震災を契機に定置用電源や自然エネルギー蓄電池などの用途も拡大しつつある。ただ、電池は、大型化するほど暴走による危険性が増すため、より高い次元の安全性を確保することが切望される。近年、耐熱性や安全性に優れた正負極材料やバインダ、集電体、セパレータ、電解液などの次世代材料の開発が活発に進められ、電池性能や安全性の飛躍的向上が図られつつある。

リチウムイオン電池は、正極と負極の材料によって電位が異なり、多様な電解液とセパレータが存在する。電極のみに着目しても、活物質、バインダ、導電助剤、集電体など組み合わせは膨大な数で、また、それぞれに適した電極製造技術がある。この多様性こそがリチウムイオン電池の強みであり、今後も材料と電池特性を理解して、用途に応じた電池を使い分けることが重要になってくる。

多様な構成材料の電池を試作して電池の性能評価と安全性評価を行い、各構成材料が電池の安全性に及ぼす影響について、動画も交えて紹介する。また、発火や暴走のメカニズムについて解析して、安全性の向上に向けての電池設計について紹介する。さらに、電池の開発現場や製造現場においても発火事故が多発しており、これらの原因究明やリスクマネジメントについても提言する。多様な具体例を紹介することで、電池と安全性について多面的に考える必要があることを理解していただく。

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