破壊力学の基礎と信頼性設計への応用

〜物の壊れ方と構造設計・保存技術の考え方〜

・破壊力学の基礎を学び、「疲労破壊」「静的破壊」「応力腐食割れ」などに対応するための講座

・適切なき裂成長の制御や予測・管理技術を修得し、信頼性の高い製品設計に活かそう!

講師の言葉

 福島第一原子力発電所の事故は、我々技術に携わる者に、技術のあり方の抜本的な見直しを迫っている。どんなに小さなものでも、自分が設計・製造したものが、社会に役立つと同時にヒトを傷つけることがあるということを認識する必要がある。モノをつくる側とそれを使う側とは空間的、時間的に距離があるが、ともすると設計者はそれを使うヒトの立場や状況を忘れてしまう。大学等では、各工学分野毎に専門の講義を受けるが、技術における破壊や失敗と安全性の問題を実設計や保全との関係から学ぶ機会はそれほど多くはない。一見自分の専門分野と関係なさそうな他分野の事故事例から学ぶことは自分の頭で考えることのできる技術者になるために大変有効である。海洋構造物や特殊船舶の設計、原子力プラントの設計や構造強度関係の研究の経験をベースに様々な事故事例の分析をし、ものはどのようにして壊れるか、破壊力学がなぜなぜ必要か、安全設計上の基本的な考え方を含めて、構造設計における破壊力学の基礎的な考え方と応用について事例を含めて解説する。
 科学技術の進歩は、構造物の安全性の確保と科学者・技術者に対する社会の信頼の上に成り立っている。日本の優れたものづくりを生かす安全設計の考え方と社会に受け入れられる保全技術の開発が、日本の企業の技術競争力につながり世界で最も信頼される技術を持った国になることを願う。

セミナー詳細

開催日時
  • 2015年06月19日(金) 10:30 ~ 17:30
開催場所 日本テクノセンター研修室
カテゴリー 電気・機械・メカトロ・設備加工・接着接合・材料品質・生産管理・ コスト・安全
受講対象者 ・今まで“応力”や“ひずみ”だけを指標にしてきた強度評価に、“破壊力学”という新たな評価手法を加えて技術力をアップすることで、疲労破壊や脆性破壊の防止や予測と保守点検期間の決定、保全計画の高度化を実現するための基礎知識とスキルを身に着けたいと思っている方 ・これから構造設計や保全関係の技術者を目指す新人技術者の基礎研修として、あるいは今まで構造設計や保全計画、保守作業に関わってきた中堅技術者がレベルアップして新たな分野に挑戦するための研修として有効です ・構造物、車、航空機、船舶、機械、重機、プラント、電子機器など関連企業の技術者
予備知識 ・材料力学の初歩知識を身に着けていることが望ましい
修得知識 ・構造設計、保全技術における強度評価の考え方の基礎が見につく。特に、対象は身近な機械から大型構造物、建築物まで構造系技術全般に応用可能な基礎を学ぶ。各産業分野にはそれぞれ技術基準等があるが、それらを実用的に活用するためには、破壊力学の意味と応用の仕方および構造設計、保全技術についての基礎知識が不可欠である。特に、主として大型構造物や大型機械の事例を紹介するが、様々分野で適応可能と考える。
プログラム

1. 設計とは何をすることか

  (1).設計仕様の設定・・・設計想定範囲
  (2)..ものづくりのプロセスと設計・保全技術の位置づけ

2. ものはどのようにして壊れるか
  (1).外力の設定と強度・・・荷重と強度
  (2).破壊モード・・・ものの壊れ方の分類・時間依存の破壊
  (3).構造破壊事故事例
     a.脆性破壊
      ・リバティ船・圧力容器
      ・阪神神戸地震中層ビル鉄骨柱破壊・タイタニック号
     b.疲労破壊
      ・世界初ジェット旅客機“コメット機”
      ・日航ジャンボ機隔壁破壊
      ・橋梁の風によるカルマン渦と疲労(タコマ橋とセバーン橋)
      ・石油掘削リグ沈没・原発再循環ポンプ(回転機械)
      ・蒸気タービンブレード(非定常流体振動)
      ・配管内熱電対の疲労破壊(カルマン渦と双子渦)
      ・ダム取水口の腐食疲労
     c.応力腐食割れ(SCC)
      ・原子力発電プラントの配管亀裂 ・化学プラント事故

3. 構造設計の基礎
  (1).弾性力学(応力とひずみ)
  (2).応力集中と亀裂
  (3).なぜ破壊力学(亀裂の力学)が必用か

4. 亀裂の力学、破壊力学とは何か
  (1).グリフィスの理論と理論へき開強度
  (2).脆性破壊と延性破壊
  (3).延性−脆性遷移
    ・遷移温度
    ・シャルピー試験 
  (4).線形破壊力学 
    ・き裂の変形モード 
    ・亀裂近傍の応力場
    ・応力拡大係数 K値
    ・エネルギー開放率とK値
    ・小規模降伏条件
  (5).破壊力学パラメータ(K値、COD、J積分ほか)
  (6).延性破壊(弾塑性破壊力学)

5. 破壊力学の応用
  (1).脆性破壊
  (2).疲労破壊
  (3).応力腐食割れ
  (4).構造設計と保全技術
  (5).評価手法“FMEA”と“FTA”
  (6).破壊力学の演習

6. 改めて破壊を考える
  (1).構造設計と安全性
  (2).潜在欠陥を想定した健全性評価
    ・航空機事故とフェールセーフ設計、損傷許容設計、マルチサイトクラック
    ・プラント設計にけるLBB(Leak-Before-Break)設計
  (3).過大な外力・材料の欠陥・ヒューマンエラー
  (4).グレーゾーン問題と安全確保の考え方
  (5).本質安全と制御安全・・・フェールセーフ性

7. 技術者としての心構え

*プログラム内容が変更になりました

キーワード 破壊力学 き裂 破損 応力腐食割れ 弾性力学 塑性変形 健全性評価 フェールセーフ 
タグ 安全寿命予測信頼性試験・故障解析金属非破壊検査金属材料材料破面解析疲労機械強度設計構造物材料力学・有限要素法設備
受講料 一般 (1名):49,500円(税込)
同時複数申込の場合(1名):44,000円(税込)
会場
日本テクノセンター研修室
〒 163-0722 東京都新宿区西新宿2-7-1 新宿第一生命ビルディング(22階)
- JR「新宿駅」西口から徒歩10分
- 東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」から徒歩8分
- 都営大江戸線「都庁前駅」から徒歩5分
電話番号 : 03-5322-5888
FAX : 03-5322-5666
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