1. 射出成形はトータル的な生産システムである
・成形不良を未然に防ぐ為に、基本となる知識を身につけることが大切
(1).成形材料の特性を理解する
a.非結晶性と結晶性材料の特性の違いが成形品の品質、不良にどのように関係してくるのか
b.結晶性材料の持つ融点が、成形にどのように関係してくるのか(PvT線図の理解、それが結晶化度と成形収縮、寸法バラツキにどう関わるのか)
c.成形条件を変えると、成形品にどんな変化をもたらすのか
(2).成形機の仕様、スクリュデザインが樹脂温度にどう関わってくるのか?
a.可塑化容量を増やすと、可塑化能力や樹脂温度にどの様な変化をあたえるのか
b.インラインスクリュ式射出成形機のメリットとデメリットを理解する
・スクリュ有効長と可塑化能力の変化と樹脂温度に与える影響
・成形材料の喰い込み不良や可塑化時間の変化がもたらす不良など
・1ショット内の樹脂温度のバラツキを成形条件でどう少なくできるのか
・主だったスクリュデザインの違いが1ショット内の樹脂温度の差をもたらすのか
・加熱筒設定温度、ノズル設定温度が実際の樹脂温度とどう関わり、不良発生に繋がるのか
2. 最適成形条件をどう見出してゆくのか?
・射出充填圧力・充填波形から読み解く力を身につける
(1).射出保持圧力の切替え位置とキャビテイ内圧力の関係をどう理解するのか
(2).最適な保圧時間の決め方とゲートシール時間の関係
(3).金型内に流入する溶融樹脂のスキン層形成過程を理解する
(4).金型内に流入する樹脂の分子配向が、寸法や強度にどんな影響を与えるのか
(5).縦収縮と横収縮の差がどうして表れるのか
(6).その分子配向する樹脂の合流点では、どのような現象が現われ、どの様な不良現象に繋がるのか
3.成形不良の発生のチェックポイント
・成形の前行程、可塑化行程、射出/充填工程、保圧行程、冷却工程、取出行程など行程過程で出やすい成形不良がある
(1).成形不良の発生部位を考察してみる
a.ゲート近傍に発生しやすい不良は?(ジェッテイング、フローマークなどその原因は)
b.流動途中に発生しやすい不良は?(ソリ、ウェルドライン、ボイド、ヒケなどの原因は)
c.充填完了付近に発生しやすい不良は?(ショートショット、オーバーパック、ガス焼けなどその原因は)
d.成形品の突き出しやその他の原因で発生する不良は?(すり傷、色ムラ、異物などその原因は)
4. 成形不良の発生の原因を推測し、その原因を読み解き、それを取り除く力を身につける
・未然防止策とそのポイント
(1).時々ショートショットが発生するが、何故?
a.規則性があるか?規則性はないか?
b.射出充填圧力や射出速度の変化を読み解く
c.射出充填圧力波形の変化が流入する成形品のどの部分で生じているのか
(2).正常時の充填波形と不良発生時の充填波形の相違から、その原因は金型的要因?成形材料に起因?射出成形機に起因しているのか?これらの要因を読み解く力量を身につける
(3).金型内への樹脂の流入過程と金型内ガスの排出の様子を理解する(金型内の樹脂挙動を理解する)
5. 寸法バラツキの原因・要因を理解する
・未然防止策とそのポイント
(1).可塑化時の樹脂温度のバラツキが与える影響
(2).金型の温度変化や室温の変化、水温&油温の変化がどう影響を与える?
(3).逆流防止弁の機能が確実に働いているか?
(4).計量時間、計量完了位置が安定しているか?
(5).V/P切替えポイントは常に一定か?
(6).射出時間、射出圧力、射出充填ピーク圧力
(7).1サイクル時間は常に一定か?バラツキは無いか?などなど
6.まとめ
7.質疑応答、その他
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