リチウムイオン電池の安全性対策技術と国内外の規制・規則およびガイドラインへの実務対応　＜オンラインセミナー＞

講師の言葉

　広く社会の電源インフラとなったリチウムイオン電池は、１９９１年の創成から今日までの３０数年間は、技術の進歩と同時に、安全性との戦いの歴史でもあった。極めて比容量　Ｗｈ／Ｋｇ　の高い電池は“エネルギー爆弾”とも言える様な存在である。民政用の小型電池の安全性問題は、２０１０年代でほぼ収まったかに見えたが、スマホ用途での髙容量化に伴って、充電中の発火事故などは危害が増加している。
　目下の最大の課題はＥＶの安全性確保、発火防止である。現在２０２２．３Ｑの世界で、ＥＶは５００万台、電池は３００ＧＷｈに達している。この先はガソリン車廃止に向けて、２０３０年には１,８００ＧＷｈ、２０３５年には３,４２０ＧＷｈに達する見込みである。米国でＧＭやＦＯＲＤのＥＶが、多くの発火事故とリコールを繰り返したのは２０２１年であった。
　リチウムイオン電池は、容量の大中小や、用途分野によって、多くの試験規格が存在し、その多くは安全性試験を含んでいる。その多くは電池メーカーが安全性を、設計と製造で確保した上で、ＪＩＳやＵＬなどの試験をクリアして行くことになる。同時に電池応用製品に関しては、ユーザー（消費者）への情報提供と、注意喚起によって、安全性を維持してゆく取組が強化されている。
　本講義では、始めに安全性の基本となる電池の構造を説明し、内部短絡、過充電、過放電など、事故につながる現象とその予防策を説明する。主題は多くの規格、ＪＩＳ、ＵＬ、ＵＮ、ＩＳＯ等々の解説であるが、膨大で多岐にわたる内容を、対象や目的を絞ってお話する。多くの規格などが、改正の時期を迎え、日本の電気用品安全法も、運用の見直しが頻繁である。欧米ではＥＶの急拡大と合わせて、ＥＵ電池規制の強化がなされている。
　電池事故は生産、流通と廃棄までを含めて、業界関係者が予めルールに従い、予防策を講じておかないと、賠償などのリスクを背負う結果になる。広く関係者のお役に立つ講義としたい。

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