バイラテラル制御の基礎と触覚通信制御技術への応用 〜デモ付〜

〜 触覚情報の通信手段、触覚通信の応用例、位置と力のハイブリッド制御、多自由度触覚通信制御のための新たな試み 〜

・今度幅広い応用が期待される触覚通信制御の実現技術を先取りし、応用するための講座

・触覚通信制御を実際に体験して、その原理と有用性が理解できる特別セミナー!

講師の言葉

 テレビや電話など、視覚や聴覚に関する通信技術は既に当たり前に存在しています。一方、触覚に関する通信は一般的になっているとは言えません。本講義では触覚通信を実現する最有力の手法であるバイラテラル制御について学び、触覚通信制御を体得することを目標とします。バイラテラル制御は、外力の検出方法、モデル化誤差に強い位置制御系、安定した力制御系、位置制御と力制御を同時に実現するハイブリッド制御、の4つを習得することができれば比較的容易に実装できます。つまり、触覚通信専用の制御はほとんど必要なく、位置と力に関わる基本的な制御則を知るだけでよいのです。
 この講義の一番の特徴は、実際に触覚通信のデモンストレーションを見て・触ることができることです。多くのセミナーが開かれる中、実際にデモンストレーションまで行う講義はほとんどないはずです。この限られたチャンスをぜひとも受講者と楽しみながら共有したいと思っております。

セミナー詳細

開催日時
  • 2016年05月09日(月) 10:30 ~ 17:30
開催場所
カテゴリー 電気・機械・メカトロ・設備ソフト・データ・画像・デザイン
受講対象者 ・ロボット、通信、機器の遠隔検査・修理、遠隔医療・手術、災害救助ほか関連企業の技術者の方
予備知識 ・PD制御などの初等的な制御知識、運動方程式の等の初等的力学知識、線形代数を知っていると理解しやすい
修得知識 ・高速・高精度でモデル化誤差に強い位置制御系の構成法 ・力制御の実装方法 ・外力の検出方法 ・触覚通信の実装方法と現状の問題点 (応用例) ・触覚通信という新しいメディアを使った次世代の通信コンテンツ ・力覚・触覚信号処理技術やそれを用いた制御方法 ・油圧モータや機能的電気刺激等の新しい多自由度駆動システム
プログラム

1.触覚情報の通信
  (1). 人間の触覚とはなにか?
     a.皮膚感覚
       ・ザラザラ感、ヌメヌメ感、サラサラ感などの感覚。皮膚における感覚
     b.深部感覚
       ・外部から押された力の強さなどの感覚。筋肉や腱における感覚
  (2). 触覚情報の通信手段
     a.皮膚感覚ディスプレイ
       ・皮膚感覚を呈示する手法。深部感覚はわからない
     b.バイラテラル制御
       ・ロボットを通信媒介物とする触覚通信制御
       ・2台のロボットが協調することで、遠隔地の皮膚感覚・深部感覚を同時に伝達できる
       ・遠隔手術、災害救助等で実用が始まっている

2.触覚通信の応用例
  (1). 通通信コミュニケーションへの応用
     a.触覚放送
       ・聴覚情報を放送するラジオ、視覚情報を放送するテレビ、これに続く新しいメディアが誕生する
     b.触覚電話
       ・遠隔地の人とふれあうことができる。田舎のおじいちゃん・おばあちゃんといつでも握手できる時代になる
     c.触覚ネットショッピング
       ・ネットショッピングをするときに商品を触ることができるようになる
  (2). 医療・産業への応用
     a.遠隔医療・手術
       ・無医村や緊急時に遠隔地から触診などで患者の状態を検査することができる。また、遠隔地からの手術も可能になる
     b.機器の遠隔検査・修理
       ・機器の検査と修理を遠隔地から行えるようになる。専門家を現地に派遣する必要がなくなるため労働が大幅に効率化される。つまり肉体労働でさえも在宅勤務可能になる。よって、触覚通信により労働形態が大きく変貌する可能性がある

3.力の計測
  (1). センサによる計測
     a.ひずみゲージ
       ・抵抗のひずみを検出して外力を検出するセンサ
     b.圧電素子
       ・力が加わると電気が流れる圧電素子を用いた力センサ
     c.ロードセル
       ・ひずみゲージをパッケージ化し使いやすくしたセンサ
  (2). センサレスでの計測
     a.反力推定オブザーバ
       ・モータの入力電流と加速度応答から外力を推定する手法
       ・ロボットのパラメータの同定が鍵になる

4.位置と力のハイブリッド制御
  (1). 位置制御
     a.外乱オブザーバ
       ・外力やモデル化誤差の影響を大きく抑圧できる制御系
       ・本講義ではPD制御と組み合わせて使用する
  (2). 力制御
     a.PI制御系
       ・性能はとても良いが容易に不安定化する
     b.P制御系+外乱オブザーバ
       ・高速動作で応答が劣化するものの現実的な制御系
  (3). ハイブリッド制御
      位置制御と力制御を同時に実現する
     a.Khatibによるハイブリッド制御
       ・広く知られた手法。通常ハイブリッド制御と言えばこれのことである
       ・位置制御と力制御が干渉し、高精度制御が困難である
     b.境野によるハイブリッド制御
       ・位置制御と力制御を非干渉化することで、高速・高精度のハイブリッド制御を実現する

5.バイラテラル制御による触覚通信制御
  (1). 斜交座標制御
     a.バイラテラル制御とハイブリッド制御
       ・適切な座標変換を施すことにより、バイラテラル制御をハイブリッド制御と等価に扱うことが可能になる
       ・斜交座標では、座標変換を変えることで以下の様々な応用例を容易に実現可能
  (2). ミクロマクロバイラテラル制御
       ・動作をスケーリングして、小さな物体を操作しているにも関わらず、あたかも大きな物体を操作しているかのような臨場感を与える制御
       ・脳外科手術や細胞操作のような微細動作を容易にする
       ・その逆に、巨大ロボットを操作することも可能である
  (3). 位置制限つきバイラテラル制御
       ・手術中の人為的ミスなどを検知して、自動的に危険動作を防止する制御
       ・複雑な制御系はいらず、単純な線形制御で実現可能である
  (4). 速度指令型バイラテラル制御
       ・車両型ロボットのように、速度を司令するタイプのバイラテラル制御

6.多自由度触覚通信制御のための新たな試み
  (1). バイラテラル制御の問題点
     a.多自由度化
       ・人間の動作を十分に再現できるロボットは現状存在しない。なぜならば多数のモータが必要になってしまうからである。それには小型軽量のモータが必要であるが、電気モータではそれは不可能である
     b.拘束感の低減
       ・人間に触覚を伝達するためには装着型ロボットが必要になるが、ロボットを装着すると拘束感が大きくなり操作者の動作を阻害する
  (2). 油圧モータ
       ・重い動力部分を床に配置することができるため、電気モータと比較して軽くすることが可能
       ・特に重作業をするロボットや建設作業機械などで活躍している
       ・外力のセンシングも圧力センサを使うことで簡単にできる
  (3). 機能的電気刺激
       ・人間の筋肉を外部電流で直接制御する手法
       ・人間の身体を使って制御するため、人間の動作を再現する自由度は当然十分にある

7.触覚通信のデモンストレーション
       ・実際に会場にて触覚通信のデモンストレーションを行う
       ・直接触ることでその原理と有用性を理解できる

キーワード バイラテラル制御 触覚通信 他自由度駆動 ひずみゲージ ロードセル 反力推定オブザーバ
タグ 精密機器・情報機器アクチュエータコンテンツ商品開発センサネットワークロボットITサービス制御電子機器
受講料 一般 (1名):49,500円(税込)
同時複数申込の場合(1名):44,000円(税込)
会場
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