カルマンフィルタの基礎とシステム状態推定への応用・例 〜 個別相談付 〜

講師の言葉

　カルマンフィルタは50年以上前（1960−1961年）、カルマン（R. E. Kalman）によって提唱された線形システムの状態空間モデルに基づく多次元フィルタであり、最初は人工衛星やロケットの軌道推定に用いられました。

　その後ロボット制御を含む各種制御システムの状態推定、機械振動系の推定、さらには経済データや気象データの解析、移動体通信、GPSや認知科学にまで応用されています。２１世紀に入っても、その応用分野は拡大し続けており、カルマンフィルタは動的システムの推定や計測に関する分野で必須のIT技術・知識といえます。しかし、カルマンフィルタを学習するには線形システムの状態空間モデル、ガウス分布や推定論など幾つかの数学的な知識が必要であり、初学者には取りつき難いことも事実です。

　本講座では、カルマンフィルタの基礎的な理解に重点をおく。カルマンフィルタの概要に続いて、ガウス分布と推定理論に関する基礎事項を述べ、ついで状態空間モデルを利用したカルマンフィルタを説明し、例題としてランダムウォークの推定問題を考察する。後半ではカルマンフィルタのMATLABプログラムを紹介した後で、直線上を動く対象の推定、振動系の推定などを取り上げ、物理システムの状態空間モデルを導出する方法とそれに対するカルマンフィルタを構成する手順を丁寧に説明して、カルマンフィルタの理論とアルゴリズムに関する理解を深める。全体として数式を用いた説明になることは避けられないが、多くの例題を用いて分かり易く解説する。

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