残留応力の基礎と測定および機器・部品の疲労強度向上技術

〜 X線による応力測定とピーニング技術による疲労強度向上技術 〜

・機器の機械的特性に大きな影響を与える残留応力について基礎から学べる講座

残留応力の特性を知り、効果的に活用することで機器の高信頼性・長寿命を実現しよう!

講師の言葉

第1部

残留応力は、機械加工、溶接、熱処理などの製造過程を通じて、製品の表面および内部に不可避的に生じます。残留応力は機械的特性や物理的特性に大きな影響を与えることが知られています。うまく利用すれば製品の高性能化をもたらしますが、取り扱いを誤ると予期しない破損などの不利益につながります。

本講義では、残留応力にまつわる課題に実践的に対応できる基礎知識の修得を目標として、残留応力とX線応力測定法に関する基礎的事項について説明します。X線応力測定を始めたい方や測定初心者の方々に役立つ情報もご提供します。

第2部

X線回折(XRD)を用いた残留応力解析手法は、結晶性材料に印加された応力解析手法のひとつです。材料中の応力は、材料強度を高めたり、逆にもろくしたりと製品の信頼性へ影響するパラメータになっています。高度な製品設計、製造、品質管理においては、材料中の応力状態を正しく評価することで、より高性能な製品や品質のばらつき低減などに威力を発揮します。

本講演では、X線回折の原理をご紹介し、他の残留応力解析方法との違いをご説明いたします。X線残留応力測定・解析・データの見方の他、広く使用されているsin2ψ法についてその特徴と適用限界を、さらに近年注目されている、新しい応力解析技術の原理と実際の測定事例をご紹介いたします。

第3部

 機械部品の故障(破損)モードの80%以上は疲労破壊である。簡便に疲労強度を向上させることができる方法としてショットピーニングがあり、自動車用歯車やばねなどに採用されている。

 今回、疲労破壊に対するショットピーニング(SP)の効果、採用部品例、SPの基礎、SP工程管理条件と圧縮残留応力分布の関係、SPの技術動向、各種SP法の表面特性と疲労強度、大幅に疲労限度が向上できる二段SP、疲労破壊抵抗因子と疲労限度の関係などを概説する。

 このセミナーにより、SPの重要性を認識していただけ、必ず業務に役立つと確信します。

セミナー詳細

開催日時
  • 2017年10月30日(月) 10:30 ~ 17:30
開催場所 日本テクノセンター研修室
カテゴリー 電気・機械・メカトロ・設備
受講対象者 ・輸送機器、機械や構造物の設計・製造に携わる若手技術者・研究者 ・残留応力に関心のある方や問題を抱えている方 ・X線応力測定を行いたい方 ・X線回折を用いて得られる材料情報に興味がある方 ・X線回折で残留応力を測定していて、うまく測れていないと考えている方 ・残留応力の利用に関心のある方
予備知識 ・X線回折(XRD)におけるBraggの回折条件について理解していることが望ましいですが必須ではなく、講演中にもその内容については説明します
修得知識 ・残留応力に関する基礎知識、測定手法の概要 ・X線応力測定法に関する基礎知識とノウハウ ・X線回折(XRD)の原理、得られる情報 ・X線回折が得意な分析、不得手な分析 ・X線回折を用いた残留応力解析の原理、適用限界、測定時の注意点
プログラム

1.残留応力とX線応力測定法の基礎

  (1).残留応力の基礎

      a. 残留応力とは

      b. 残留応力の発生メカニズム

      c. 残留応力の功罪(疲労強度、応力腐食割れ、経年寸法変化など)

      d. 残留応力の調整・低減方法の概説

      e. 各種残留応力測定法の概説(破壊的手法、非破壊的手法)

  (2). X線応力測定法の基礎

      a. X線応力測定装置の構成

      b. 測定原理(X線回折、sin2ψ法)

      c. 測定データの見方と用語説明

      d. 留意点(測定可能な深さ、表面粗度、曲面、など)

      e. 測定条件の定め方

      f. その他の活用法の紹介(硬さ評価、残留オーステナイト測定、余寿命評価)

2. X線回折を用いた残留応力の測定技術と測定事例

  (1).X線とX線回折

      a. X線とは

      b. 回折とは

      c. 結晶とX線回折: Braggの回折条件

      d. X線回折測定結果から得られる情報

      e. X線回折装置の構成例

  (2). X線回折を用いた材料分析

      a. 定性分析・定量分析

      b. 格子定数

      c. 結晶配向・集合組織

      d. その他の分析

  (3).X線回折を用いた残留応力解析

      a. 応力解析の原理

      b. sin2ψ法とその適用限界

      c. 新しい残留応力解析: cosα法、2D法

  (4).X線残留応力解析の実例

      a. 鉄鋼系材料の測定・解析事例

      b. セラミックス材料の測定・解析事例

      c. 薄膜材料の測定・解析事例

  (5).まとめと質疑応答

3. ピーニング技術による残留応力の活用と疲労強度向上技術

  (1). ショットピーニング(SP)が用いられている産業分野とSP技術の変遷

  (2). ショットピーニング技術の基礎と製品への応用事例機械部品の故障モード

  (3). 疲労破壊過程における各過程の抵抗因子と支配因子

  (4). 疲労強度向上指針とこれに対する最適な表面改質法

  (5). SPの効果

  (6). ショットピーニング(SP)技術の基礎

      a. SPによる圧縮残留応力導入のメカニズム

      b. 各種ショットピーニング法の特徴

      c. 用いられるショット

      d. 圧縮残留応力測定方法と各種ショットピーニング法の残留応力分布

      e. ショットピーニング工程の管理条件と圧縮残留応力の関係

      f. 最大圧縮残留応力の支配因子

  (7). 各種SPの特性

      a. 表面特性

      b. 曲げ疲労強度

      c. 面疲労強度

  (8). 疲労強度向上指針の妥当性の検証

  (9). 粒界酸化層の無害化ができる二段SP(DSP)法

  (10). 大幅に曲げ疲労限度が向上できる真空浸炭、超急速加熱急冷の輪郭高周波焼入

       れおよびDSPを組合わせた複合表面改質歯車

      a. 表面特性

      b. 曲げ疲労強度

      c. 軟窒化、高周波焼入れ、SPなどの各種表面歯車の表面特性と曲げ疲労限度の関

       係

  (11). ショットピーニング採用上の留意点

キーワード 残留応力 X線応力測定 X線回折 ショットピーニング 
タグ 金属金属材料表面改質機械機械要素自動車・輸送機車載機器・部品
受講料 一般 (1名):49,500円(税込)
同時複数申込の場合(1名):44,000円(税込)
会場
日本テクノセンター研修室
〒 163-0722 東京都新宿区西新宿2-7-1 新宿第一生命ビルディング(22階)
- JR「新宿駅」西口から徒歩10分
- 東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」から徒歩8分
- 都営大江戸線「都庁前駅」から徒歩5分
電話番号 : 03-5322-5888
FAX : 03-5322-5666
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