リチウムイオン電池の劣化診断と解析・評価手法およびその事例

〜 電池の特性劣化度の診断技術、電池の解体調査技術と構造解析・測定例、X線回折法による評価技術 〜

  • 電池の劣化現象・診断手法や主な測定・評価法について、3名の講師が解説する講座!
  • 劣化現象の把握と診断技術から、内部構造の解析・測定・評価法を、事例を通して学び、電池の性能・安全性・信頼性確保に活かそう!
  • 近年、電池メーカーのみならず、自動車などの電池ユーザ企業からも、電池の解析・評価を取り入れる企業が増えています!

講師の言葉

(第1章)

リチウム二次電池の安全性確保のために、その特性劣化現象を理解するための基礎知識、及び劣化診断法の現状と解決法を紹介します。特に、リチウムイオン二次電池の仕組み、充放電特性の見方、電池構成材料とその反応特性、インピーダンス測定法とそのスペクトルの意味、電池状態把握、電池の健全度診断法、安全性確保のための添加剤、最近の開発トピックスなどを概説します。

(第2章)

 近年、リチウムイオン電池は自動車部品として重要なキーデバイスとなってきている。携帯機器に比べ、高温・低温環境での性能維持や、長寿命化など課題も多く、かつ大幅なコスト低減という開発が必須である。構造因子としての難しさが多く、リチウムイオンを授受する活物質(リチウム 系複合酸化物など無機材料)や電子の授受に寄与する金属箔、各粉末を結着するための高分子材料、有機溶媒、電解質など複数の物質で構成されていて、材料の選定や配合比、製造プロセスも精緻に制御しないと、性能、信頼性、寿命ともに敏感に影響を受けてしまう。解体して分析・解析するといえば簡単だが、目的に応じた適切な解析結果を得るためには、専用の環境と設備や多くの経験(ノウハウ)が必要とされ、少しでもミスがある とたちまち誤った解釈につながる難しさがある。例えば、副反応による内部抵抗因子を正確に解析するためには、特殊で高度な専門設備を使いこなす必要があるし、複数の分析を組み合わせることで見えてくる事実もある。性能改善のためにはIn-situでの挙動を分析、解析することも大変に重要となってきている。
 本講演では、こうした背景をもとに、解体して分析するうえで必要な知識やノウハ ウ、注意点について実例を交えて紹介する。

(第3章)

 電池材料評価によく用いられている分析手法の1つであるX線回折法の基礎についてご説明します。X線回折法では、非破壊で電池材料の特性に関係する結晶構造に関する情報を得ることが可能です。講義の中では実際の測定例も交えて説明します。

セミナー詳細

開催日時
  • 2016年11月14日(月) 10:30 ~ 17:00
開催場所 日本テクノセンター研修室
カテゴリー 電気・機械・メカトロ・設備
受講対象者 ・自動車、輸送機、電子機器、産業機械、ロボット、ドローン、農機具、その他リチウムイオンバッテリーを使う製品に携わる技術者の方、電池開発に携わる方
予備知識 ・特に必要ありません
修得知識 (第1章) ・リチウム二次電池特性の把握のための基礎知識 ・電池特性の劣化度診断法の現状と解決法の概要把握 ・電池の安全性確保のための電池反応の概念把握とその対策 (第2章) ・リチウムイオン電池の微細構造 ・電池の劣化因子(要因) ・先端機器を含む分析技術 (第3章) ・X線回折法の基礎 ・X線回折法による電池材料評価
プログラム

第1章 リチウムイオン特性劣化度の診断方法、劣化現象の解明

1. 電池反応の基礎

  (1). 反応の基礎概念 

  (2). 活物質粒子の反応スキーム

  (3). リチウムイオンの拡散過程と拡散係数

2. 電極およびセルの特性評価の基礎−劣化評価との関わりで

  (1). 充放電特性(エネルギー密度、レート特性、パワー密度など)

  (2). パルス法、サイクリックボルタモグラム特性、充放電微分特性

  (3). ACインピーダンス測定

    

3. 市販電池特性劣化の評価(主に車載用)

  (1). 劣化の主な因子

  (2). 劣化特性のモニタリング(充放電とその微分特性、パルス、ACインピーダンス)動向

  (3). 弊社開発の新しい劣化度診断法の概要

4. 電極(正極と負極)と電解質の改善

  (1). 正極活物質の開発動向

  (2). 正極特性改善のための化学修飾

    a. 電解質の不可逆酸化反応防止、活物質の溶解防止などを含む

  (3). 炭素系負電極の改善

    a.表面被覆膜(SEI)形成、バインダーなどを含む

  (4). 非炭素系の開発動向とその改善

    a. サイクル特性向上(複合化、化学修飾などを含む)

  (5). 電解

5. 界面化学と制御

第2章 リチウムイオン電池の内部構造の分析・解析法

1.リチウムイオン電池の内部構造

  (1). 電池構造と製造プロセス

  (2). 製造プロセスと電池性能との関係因子

  (3). 用途別で考えた電池設計

2.電池解体調査技術

  (1). 解体のための注意点(環境、道具)

  (2). 電池解体事例

  (3). 発生ガス分析

  (4). 電解液分析

  (5). タブ溶接部

3.電池の微細構造

  (1). 電極局所構造と性能との関係因子

  (2). 充電状態における負極構造の解析例

  (3). 負極SEI構造の分析・解析例

  (4). 放射光を利用したIn-situ測定例

4.電池のシミュレーション評価技術

  (1). 1次元、3次元モデル計算

第3章 X線回折法による評価技術 (1時間程度)

1. X線回折法の基礎

  (1). X線回折法とは

  (2). X線回折装置について

  (3). 解析手法について

2. X線回折法を用いた測定事例:信頼性向上、電池の高性能化のために

  (1). リチウムイオン電池の充放電評価

  (2). 電池正極材の結晶構造評価

  (3). 電池用触媒の評価

3. X線透過法による評価:内部構造、空間、欠陥の評価

  (1). 微小構造の見える化

  (2). リチウムイオン電池の評価

キーワード リチウムイオン電池 電池反応 充放電特性 エネルギー密度 レート特性 パワー密度 ACインピーダンス測定 正極材物質 電池解体調査技術 電極局所構造 負極SEI 放射光 X線回析法 非破壊 結晶構造評価 電池用触媒 X線透過法
タグ リチウムイオン電池ロボット車載機器・部品電池
受講料 一般 (1名):49,500円(税込)
同時複数申込の場合(1名):44,000円(税込)
会場
日本テクノセンター研修室
〒 163-0722 東京都新宿区西新宿2-7-1 新宿第一生命ビルディング(22階)
- JR「新宿駅」西口から徒歩10分
- 東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」から徒歩8分
- 都営大江戸線「都庁前駅」から徒歩5分
電話番号 : 03-5322-5888
FAX : 03-5322-5666
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