各種DLC膜の基礎・特性と最新技術および製品への応用

〜 DLCの製膜手法、内部構造による分類法および諸特性、三次元コーティング、DLCの製品への適用〜

輸送機器、工具、金型などへ適用が進むDLCについて、基礎から製品化までを事例に基づいて解説する講座

・耐摩耗、耐腐食、熱安定性などの利点から適用が進むDLCについて、複数の講師陣がわかりやすく解説!

・DLC膜の特性を学び、自社製品の品質向上を実現させるための特別講座!

講師の言葉

第一部

 DLC膜の種類は、その成膜手法や原料ガス、成膜パラメータにより様々であり、その応用先によって求められる機械・物理特性が異なる。DLC膜をより産業に役立つ材料にするためには、世の中にどんなDLC膜が存在しているのかをまず知る必要がある。しかし、DLC膜の種類や分類の手法は確立できていないのが現状である。
 我々は、ラマン分光法を用いてDLC膜の内部構造を特定し、膜の機械特性、密度、組成と内部構造を相関づけることにより、DLC膜を客観的に分類する研究を行ってきた。さらに、その相関から今までは測定が不可能であったマイクロスケールの機械要素、三次元の複雑形状物上のDLC膜の諸特性を予測可能にした。
 本講座では、DLC膜の基礎から、DLC膜の内部構造による分類法、内部構造からのDLC膜の諸特性を予測する手法、DLC膜の三次元成膜およびその膜質評価に関する手法について概説する。

第二部

 自動車の燃費向上のために、エンジンの摩擦低減技術の一つとして、90年代後半からダイヤモンドライクカーボンDLC膜の開発に着手した。エンジン油中での摩擦低減効果に優れる水素を含まないDLC膜を選定すると共に、潤滑油成分の影響を調べて最適化すること、および各部品に適用した際の課題を整理し、DLC膜のスペックに落とし込むことで、量産車への適用と燃費の向上につながった。
 本講演ではCO2削減に向けた取り組みと、DLC膜と部品適用の開発に関する最新状況について紹介する。

セミナー詳細

開催日時
  • 2015年11月20日(金) 10:30 ~ 17:30
開催場所 日本テクノセンター研修室
カテゴリー 電気・機械・メカトロ・設備加工・接着接合・材料
受講対象者 ・自動車をはじめとした輸送機器、機械電子機器および部品関連における開発設計、技術、生産および生産技術、製造、信頼性評価に関わる方 ・表面処理、表面解析に関わる技術者、研究者の方 ・工具や金型などの設計開発、摩耗対策に関わる方 ・DLC膜についての初心者、若手研究者、技術者 ・DLC膜に関心のある方
予備知識 ・特にございません
修得知識 ・DLC膜とは何か、DLC膜の内部構造と分類、DLC膜の諸特性(摩擦、耐腐食、熱安定性、伝導性など)、ラマン分光分析の活用法、DLC膜の三次元コーティングの基礎など ・DLCコーティングの摩擦摩耗に関する基礎特性と、自動車部品への適用に関する評価技術
プログラム

第一部 DLC膜の基礎と特性および三次元コーティング技術

1. DLC膜とは

2. DLC膜の成膜手法と成膜機構

3. DLC膜の内部構造による分類
  (1). ラマン分光分析
  (2). DLC膜の特性とラマンパラメータ間の相関

3. DLC膜の諸特性
  (1). 熱安定性: Si-DLC膜, SiBCN膜を中心に
  (2). 耐腐食性: Mg基板, SUS基板を中心に
  (3). 電気伝導性: N-DLC膜, グラファイトライクカーボン膜を中心に
  (4). 光学特性: SiOx膜, Si-DLC膜, a-C:H膜, a-C膜の比較
  (5). 摩擦特性
     a. DLC膜の構造と摩擦係数の相関
     b. Si-DLC膜の低摩擦特性
     c. DLC膜の超潤滑特性
  (6). 吸着特性 (自己組織化単分子膜の形成、液体高分子の吸着)

4. DLC膜の三次元コーティング
  (1). 丸棒に作成したDLC膜の構造変化
  (2). パイプ内面へのDLC成膜 (PBII法)
  (3). トレンチ形状物へのDLC成膜
   a. イオンシース長
   b. ナノトレンチへのDLC成膜とナノインプリント用金型への応用
   c. マイクロトレンチへのDLC成膜
   d. UVラマン分光分析によるDLC膜の評価
  (4). マイクロホールへのDLC成膜

5. まとめ

第二部 潤滑油との低フリクション相乗効果を目指した水素フリーDLC膜のエンジン部品への適用

1.背景
  (1). 自動車を取り巻く環境・求められる機能と技術課題
  (2). 地球温暖化シナリオとCO2削減に向けた取り組み
  (3). エネルギー消費割合とフリクション低減の方策
  (4). フリクション低減の方策
  (5). エンジン主要部位の潤滑状態と低μ化方策
  (6). ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜とは

2.水素フリーDLC膜の摩擦特性
  (1). DLC膜の摩擦係数と低フリクション化のブレークスルー
  (2). 水素フリーDLC膜の低μメカニズム
  (3). シュミレーションおよび表面分析による解析

3 水素フリーDLCバルブリフターの開発
  (1). バルブリフターの評価仕様
  (2). エンジンヘッドassyでのフリクション評価方法
  (3). エンジンヘッドassyでの評価結果
  (4). DLC対応新エンジン油によるフリクション低減効果

4.水素フリーDLCピストンリングの開発
  (1). DLCピストンリング開発の狙い
  (2). ピストンリングを模擬した往復機構でのフリクション評価
  (3). 往復動での水素フリーDLC膜のフリクション低減効果
  (4). λレシオによるフリクションの整理
  (5). エンジンでのファイアリング時のフリクション評価方法
  (6). エンジンでのフリクション評価結果と水素フリーDLC膜による効果

5.水素フリーDLC膜の摩耗特性
  (1). DLC膜の製法と評価仕様
  (2). 潤滑下での摩耗試験結果
  (3). 摩耗試験中の構造変化
  (4). ドロップレットの構造と摩耗影響

6.まとめ

キーワード DLC ダイヤモンドライクカーボン Si-DLC SiBCN N-DLC グラファイトライクカーボン SiOx膜 Si-DLC膜 a-C:H膜 a-C膜 摩擦特性 潤滑 水素フリーDLC 
タグ 金型トライボロジー薄膜表面改質腐食・防食
受講料 一般 (1名):49,500円(税込)
同時複数申込の場合(1名):44,000円(税込)
会場
日本テクノセンター研修室
〒 163-0722 東京都新宿区西新宿2-7-1 新宿第一生命ビルディング(22階)
- JR「新宿駅」西口から徒歩10分
- 東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」から徒歩8分
- 都営大江戸線「都庁前駅」から徒歩5分
電話番号 : 03-5322-5888
FAX : 03-5322-5666
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