時間測定回路(TDC：Time-to-Digital　Converter)の基礎と設計のポイントおよび応用

講師の言葉

　時間計測デバイスTDC(Time-to-Digital Converter)は、以前より放射線計測等の科学実験に多く用いられてきましたが、近年ナノ秒からピコ秒精度のTDCがCMOS LSIにより容易に実現されるようになり、その応用は車間等の距離計測からイオン飛行時間分析まで多方面に広がるようになりました。またFPGAを使用しても、かなり良い精度のTDCが実現出来るようになってきました。
　しかしながら、TDCはADCに比べると設計方法も使い方もあまりよく知られておらず、教科書もほとんどありません。その理由のひとつは、応用分野が限られていた事と、目的により手法がさまざまであった為だと思われます。
　講義では各種TDC回路の実例の紹介を行うと共に、それぞれの方式の特徴および性能の限界を示し、各自の応用に合ったTDCの設計方法や使い方をマスターしていただこうと思います。
　また最近ナノスケールのCMOS LSIの時代となり、動作電圧が低下した事から、従来の振幅方向のアナログ回路の実現が難しくなり、時間方向の特性を利用したアナログ回路の実現方法が注目を浴びています。ここでキーデバイスとなるのはやはりTDCです。　応用例としてADPLL(All-Digital PLL)回路や、時間領域ADC、 時間差増幅回路等出来るだけ多くのものを紹介したいと思います。

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